社長インタビュー Vol. 4
藤田はその仕事に、どのような意識で向き合っているのか。何が必要だと考えているのか。単刀直入に聞いた。
——当社の仕事に、特に必要なことは何だと思われますか。
INCLUSIVEでやっている仕事はひと言でいうと「おせっかい」なんですよ。
元々媒体社の人たちが自分たちでやればいいことを、私たちにやらせてください、私たちがあなたたちとDXを推進します、という「おせっかい」なんですよね。そして広告代理店と広告主の間に挟まって、そのマージンをいただくという商売なわけです。だから、そこにいるべき存在なのかという存在価値が常に問われる、非常に微妙な立ち位置の仕事だと最初から認識しています。
でも介在したいんですよね。最初から出版社に就職すればいいじゃん、となってしまうところを、いやもっと世の中が見てみたい。色々な出版社とその内側が見てみたい。テレビ局の中が見てみたい。色んな会社の色んなところが見てみたい、だからこそ、そういったコンサルや広告代理業務をやるんです。
ただ、そこには既存の編集者やクリエイター、マーケティング担当の方がいらっしゃるわけです。彼らがいるにも関わらず、我々が同じような仕事をする、ということはプロフェッショナルでなければいけないですよね。彼らができないことをやらないと、「あいつらは必要なのか」ということになってしまう。自分自身の存在価値を常に問われる立ち位置だからこそ、日々自分自身を高めなければいけないし、「ありがとう」や「そこにいてくれて良かった」と言われる関係を作らなければいけない。その前提なしに仕事に入ってしまうと、非常に大きな問題が起きる可能性がある。
——「介在価値」とでもいいましょうか。これが必要だということですね。
介在価値あるいは存在価値というもので、非常に参考にしている団体がアメリカ海兵隊なんです。
一橋大学の組織論の先生で、名誉教授の野中郁次郎さんという方がいらっしゃるんですが、その方が書いた『アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新』という本、これが僕の中では非常にツボで。面白いんですよ、ほんとに。野中先生にはもっとたくさん名著があるんですけど、順番に読んでいったらこれが一番面白かった。個人的にね。
僕の理解では、海軍がいる、陸軍がいる、海兵隊、お前ら誰。お前らなんかいらない。とアメリカ軍の中で言われ続けて100年、みたいな人たちなんですけど。自分たちの存在価値を常に問われながら、彼ららしい戦い方を編み出したり、日々練度を上げていく活動をされていたりする。当社と、何となく似てるといえば似てるなあと。組織として、いかに自己変革をし続けなければいけないか。我々も常に、驕ることなく改革していかなければいけないと思っています。
現業でいえば、我々は広告代理店業務や業務委託という仕事が介在価値ですけど、ユーザーさんと何か、とか、ユーザーさんと誰かを橋渡しする、といった具合に常に誰かと何かの間には挟まると思うので、いつもそういうことを意識すると良いのかなと。何か違うサービスを展開するにあたっても、非常に大事なポイントになるんじゃないかと思いますね。
——ありがとうございました。