
すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、INCLUSIVEは民間ロケット開発を行うインターステラテクノロジズ社と資本提携したことを本日発表しました。
ISTは「誰もが宇宙に手が届く未来をつくる」というビジョンを掲げ、2013年北海道大樹町にて創業したロケット開発スタートアップです。今後需要が急激に増加すると見られている超小型人工衛星を低コストで打ち上げることができるロケット開発に注力しており、観測ロケット「MOMO」の開発に成功し現在、超小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」を独自開発をすすめております。
観測ロケット「MOMO」シリーズは、2019年5月4日に打ち上げを実施した3号機が国内民間企業単体のロケットとして初めて宇宙空間に到達しました。その後、コロナ禍による打ち上げ中止など厳しい時期を乗り越え、本年7月に2機が宇宙空間到達に成功しています。サクッと説明しましたが、これはかなりすごいことで世界的に見ても民間ロケット開発会社で宇宙まで到達した事例は数えるほどしかありません。アジアでは初です。特に今年の7月に2発も成功させたことはものすごい快挙なのです。が、世の中的には小さくしか扱われていない点は残念なことです。
そんな「人知れず実はすごい」この開発技術を活かして100kgまでの超小型人工衛星を打ち上げるためのロケット「ZERO」の開発促進・実機製作・打ち上げに向け開発をすすめています。「ZERO」開発成功の先には宇宙への運搬(ペイロード)事業のみならず、人工衛星を活用した情報インフラや宇宙からの観測ビックデータ関連ビジネスへの広がりが期待されます。
コンサルティング会社KEARNEY社の「将来宇宙ロードマップ検討会」の資料によると世界の宇宙市場は2018年時点で40兆円の市場が存在し、2040年には波及効果も含めると160兆円規模になるとの予測。モルガン・スタンレーによると2018年、37兆円が2040年には100兆円になると予測しています。さらに文部科学省の「革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会」での配付資料によると、2040年には二地点間高速移動市場は国内離発着で5.2兆円規模。宇宙旅行市場は、サブオービタル軌道・地球低軌道を併せて、8,800 億円規模。さらに低軌道における通信・地球観測・メガコンステレーション等の低軌道市場は、グローバルで約1兆円の市場規模となることが見込まれています。
今回のISTとの資本業務提携を通じ、例えば農林水産業においてはISTが打ち上げた人工衛星から得られるデータやセンシングデバイスの活用による作業の効率化を図ることや、労働負荷を削減すること、さらには生産効率を最大化する等、就労人口が減少する同産業の持続可能な産業育成につなげることができると考えています。
このようなサービス開発と、先に資本参画した「宇宙港」SPACE COTAN社とも連携することで、INCLUSIVEがかねてより推進してきた北海道の地域活性化を宇宙産業を中心に推進できると確信しています。
資本提携においては藤田の当社株式を同社へ現物出資することにより、双方が株式を所有する座組みとしました。自社株の売却はこれまであまり考えておりませんでしたが、中長期的に双方の企業価値向上に資する施策を実施しやすい環境ができると思い、このような決断をさせて頂きました。ご理解頂ければ幸いです。
今後についてですが、まずはISTが提供する観測ロケット「MOMO」の広告ソリューションとしての企画・営業を支援することで、シナジー効果を創出していきます。さらにISTと協業を深化させていくことにより、上述の通り「宇宙関連の情報×インターネット」のビジネスモデルを構築し、人工衛星を活用した産業支援ソリューションや、ユーザーとの接点を強化する情報流通ソリューションの提供を検討する予定です。
たいへん大きな決断をしました。この決断がINCLUSIVEグループにとっても、ISTにとっても、北海道の新産業育成と地域活性化にとっても好影響を生むよう推進してまいります。ご期待ください!
