平成30年度農林水産省家畜共済統計によると、乳牛等の病傷事故のうち30%程度を乳房炎を代表とする泌乳器疾患が占めています。酪農地として知られる北海道においては、年間100億円の経済損失が乳房炎によって発生しているとの報告もあり、大きな課題であることがわかります。
また、牛のゲップには温室効果ガスであるメタンが含まれており、生育過程における地球温暖化への影響が注目されています。
我々はこれらの課題に対して、衛星データを活用することで解決策が提示できるのではないかと考えています。
図:乳牛等の病傷事故病名別割合
「平成30年度農林水産省家畜共済統計」を基に弊社作成
酪農牛の飼料であるデントコーンなどの栽培時に土壌の窒素量が多いことで、それを餌とする酪農牛の乳房炎発症につながる可能性があることが知られています。
衛星データを活用して土壌や飼料の窒素量をモニタリングすることで、デントコーンなどの飼料栽培環境を最適化し、酪農牛の健康な生育を実現して生乳ロス削減に繋げることが可能になると考えています。
また、牛が放出するメタンガスをモニタリングすることにより、メタン排出量を減らす飼料の利用など改善活動を実施した際の定量的な結果の可視化が可能となり、環境に優しい酪農の実現にも貢献できるのではないでしょうか。