K. S. 株式会社morondo代表取締役
2017年新卒入社。研修後、子会社Data Tailorに出向。翌年、本社「パブリッシャートレーディングデスク部門」の立ち上げのプロジェクトマネージャーとなる。本部門で30媒体を担当後、大阪支社勤務を経て社長室へ。社長直下で新規メディア立ち上げを担当する傍ら、統合直後の「morondo」のPMI※業務に携わり、同社代表取締役に就任。
変化に富んだキャリアパスと子会社の代表取締役という現在地

——27歳にして子会社morondoの代表取締役に就任。スピード感溢れるキャリア形成です。
現在新卒5年目ですが、社内でも歴代トップなくらい多くの部署を経験させてもらっているんじゃないかと(笑)。1年目で子会社のDataTailorに出向して、ウェブメディアを運営する会社様に対してツールを導入してもらうための営業をし、導入後にはしっかり収益を伸ばしていくカスタマーサクセス業務を経験しました。数字を使って論理的に説明するクセをつけられたのはこの頃ですね。その後は、本社での部署の立ち上げや大阪支社のテコ入れ、社長直下でゼロイチのプロジェクトを担う社長室など、事業をつくる現場にいました。
——INCLUSIVEは2019年の上場後、多くの買収を行っていますが、morondoもその一つですね。子会社の代表取締役は、どんな仕事をするのですか?
morondoの経営に関わるすべてのことです。例えば、事業計画策定・人事制度設計・既存プロダクト改善・新規事業開発など…実際に広告主の方々とのやり取りも行っています。どの業務も、しっかりと売上を伸ばし、コストを厳密に管理することで会社の利益をつくる、というミッションの元に行っているので、その意味では一貫性がある仕事内容ですね。
——morondoは、ユニークなローカルメディアとしてリスペクトされる「枚方つーしん(https://www.hira2.jp/)」の運営母体です。現在の課題はどういったことですか?
今の課題は、「ニッチ領域でNo.1になったあと、それをどう他領域に展開していくのか?」という点です。
僕が作り上げてきたわけではないですが、手前味噌ながら、morondoの「枚方つーしん」は地域情報発信メディアとしては国内有数の媒体だと思います。市内の認知度は高く、数年に渡ってリピートしていただいている広告主も多い、まさに理想的なローカルメディアだと思います。
しかし、それと同等の影響力を枚方市以外で発揮できるようにするためには、いくつも壁があります。これまではまさに心血を注いで、市民・読者目線で記事を作ることができましたが、媒体で取り上げるエリアを拡げるとなると、同じ熱量を保っていくには組織としてのパワーを上げていく必要がある。
そこでINCLUSIVEがこれまで培ってきた「メディアを事業として見て着実に伸ばしていく」というビジネス的な強化が必要になっています。
しかし、morondoとINCLUSIVEはまったくカルチャーが異なる会社なので、そのままINCLUSIVEのフォーマットを使おうとしてもうまくいかないことがあります。
カルチャーギャップと経営哲学に揉まれ、自分がどんどん変っていくのが楽しい

——INCLUSIVEとmorondoのカルチャーの違いはどんなところですか
INCLUSIVEは新卒の社員も多く、「こういう自分になりたい!」「将来的にこういうことがしたい!」という成長に貪欲なメンバーが多いです。一方、morondoはすでに家庭を持っていて、家族との時間を大切にできる柔軟な労働環境や、おもしろい記事を追求することを重視したい社員が多いです。INCLUSIVEとmorondoでは会社が社員に求めているものも、社員が会社に求めているものも異なるので、「良質なメディアをもっと地域から生み出して行きたい」という目的は同じでも、山の登り方がまったく違います。
そこで僕が両社の“かけはし”となり、INCLUSIVEのいいところをmorondoに取り入れつつ、これまでのmorondoの良さもさらに伸ばしていく。急激な変化によるハレーションをどのように抑え、かつスピード感のある事業推進を行うのか、常に考えながら走り続ける。そうしてINCLUSIVEの事業推進スキームで「枚方つーしん」モデルを全国に広めていくのが僕に課せられたテーマだと思っています。
——タフな業務だと思いますが、今の仕事の「おもしろ」について教えてください。
2人のまったくタイプが違う経営者の間で揉まれながら、まだ社として経験したことのないフェーズの問題にぶち当たり、改善していくことですね。
今、morondoは代表取締役3名体制となっていますが、僕は経営陣に入って日が浅く、最も若いです。自分の中で確固たる信念が形成されていない状態で経営にあたっている部分も、正直あります。ですが、逆に他の代表取締役(藤田さん、原田さん)の考え方をフラットに取り入れることができるので、先入観を持たずに判断を下せる状態でもあります。
環境だけではなく、自分もどんどん考え方が変わっていくのが、かなり「おもしろ」だと思ってます。
——藤田社長は、「新卒社員から役員を出すのが夢だった」と語っています。Sさんは新卒社員で初の取締役に抜擢され、藤田社長の夢を叶える形となったわけですが、アサインされたのはなぜだと思いますか?
僕の長所はバランス感覚だと思ってます。ロジカルに、細部まで精査する感覚でのリスクマネジメントと、「えいや」で決断できる、良い意味での適当さが両立できているんじゃないかなと自分では勝手に思ってます(笑)。
これまで、ロジカルなだけでは納得してもらえないクライアント様ともお話しましたし、逆に根拠が説明できないならやるな、と却下された提案もありました。
これはどちらが正しいという話ではなく、場合によってシームレスに切り替わるものだと思いますが、数多くのメディア運営社と関わらせていただいた経験の中でその切り替えがうまくできるバランス感覚が備わったな、と思っています。この辺りを評価されたのかなと。
INCLUSIVEという会社には「理不尽」が少ないと思う

——Sさんのように事業運営を担う人に必要とされることは?
「ロジカル一辺倒ではない柔軟さ」でしょうか。それから、僕の今のミッションはグループの意向を子会社に浸透させていくことでもあるので、まず、グループとしてはどういう動きをしていくのかをくみ取る力と、それを自分が担当している会社に落とし込んだ時、どのような計画・行動をすべきなのかを自分で考えられる力が必要だと思います。誰も答えを持っていないので。 あと、僕はものすごくネガティブで、いつでも最悪の状況を想定しているんですよ。そうすれば、いざ最悪の事態が起きても思考停止しないですむ。そのための準備も怠らないようにしています。ポジティブであることが推奨されがちですが、ネガティブでもいいと思います(笑)
——ロジックの積み上げが緻密で、冷静に勝ち筋を伺うところがSさんのすごいところですが、もしかしたらネガティブパワーからきているのかもしれませんね。そんなSさんからみたINCLUSIVEの魅力とは?
理不尽な我慢を強いられることがあまりないところです。環境の変化が激しいので、メンバーの端々まで十分に意図が伝わり切らないまま、新しいことが始まってしまうということはあります。一個人としては納得のいかない采配になるときがまったくないとは言い切れませんが、理由が説明できない無駄なことをさせられるといったことがない。そこは、僕がINCLUSIVEで働き続けている理由のひとつですね。
——就職活動中の方へメッセージをお願いします
僕はコミックやアニメが好きで、実は漫画編集者に憧れていたんです。やりたかったことは「つくる人」を支えることなので、今はそれができていると感じています。 結局どんな会社に入っても、その選択を正解にするのは自分自身です。納得いくまで粘りに粘って悩みに悩んで選択してもらえればいいと思います。
※PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション):M&A直後に統合効果を最大化するためのスキーム作成とそのプロセス。経営統合・業務統合・意識統合の3ステップで行う